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【在留手続】在留資格「永住者」
最終更新日 2024年12月11日
1 在留資格の概要
永住許可は,在留資格を有する外国人が永住者への在留資格の変更を希望する場合に,法務大臣が与える許可であり,在留資格変更許可の一種と言えます(入管法第22条第1項)。
永住許可を受けた外国人は,「永住者」の在留資格により我が国に在留することになります。在留資格「永住者」は,在留活動,在留期間のいずれも制限されないという点で,他の在留資格と比べて大幅に在留管理が緩和されます。このため,永住許可については,通常の在留資格の変更よりも慎重に審査する必要があることから,一般の在留資格の変更許可手続とは独立した規定が特に設けられています(入管法第20条第2項但書・第22条・第22条の2第4項)。
2 永住許可の要件
永住許可の要件は、次の三つです(入管法第22条第2項)。永住者の在留資格の取得の許可の場合も同一です(入管法第22条の2第4項、第22条の3)。
(1)素行が善良であること
(素行善良要件、入管法第22条第2項第1号)
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。 (永住許可に関するガイドライン(令和6年11月18日改訂)) |
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
(独立生計要件、入管法第22条第2項第2号)
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。 (永住許可に関するガイドライン(令和6年11月18日改訂)) |
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
(国益適合要件、入管法第22条第2項柱書本文)
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。 イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。 ※ 公的義務の履行について、申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されます。 ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。 エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。 (永住許可に関するガイドライン(令和6年11月18日改訂)) |
※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、
(1)及び(2)に適合することを要しません。また、難民の認定を受けている者、補完的保護対象者の認定を受けている者又は第三国定住難民の場合には、(2)に適合することを要しません。
3 原則10年在留に関する特例
永住許可の要件としての「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」(国益適合要件)を満たすためには、上記2(3)アのとおり、原則として引き続き10年以上日本に在留していること(日本継続在留要件)が必要とされますが、例外が認められています。
永住許可に関するガイドライン(令和6年11月18日改訂)2は、「原則10年在留に関する特例」として、(1)から(7)までを特例として列挙しています。以下、出入国在留管理庁ホームページの記載を引用します。
原則10年在留に関する特例(1)日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
(2)「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること
(3)難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること
(4)外交、社会、経済、文化等の分野において我が国への貢献があると認められる者で、5年以上本邦に在留していること
※「我が国への貢献」に関するガイドラインを参照して下さい。
(5)地域再生法(平成17年法律第24号)第5条第16項に基づき認定された地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の規定に基づき同法別表第1の5の表の下欄に掲げる活動を定める件(平成2年法務省告示第131号)第36号又は第37号のいずれかに該当する活動を行い、当該活動によって我が国への貢献があると認められる者の場合、3年以上継続して本邦に在留していること
(6)出入国管理及び難民認定法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令(以下「高度専門職省令」という。) に規定するポイント計算を行った場合に70点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
ア 「高度人材外国人」として必要な点数を維持して3年以上継続して本邦に在留していること。
イ 永住許可申請日から3年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に70点以上の点数を有していたことが認められ、3年以上継続して70点以上の点数を有し本邦に在留していること。(7)高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上を有している者であって、次のいずれかに該当するもの
ア 「高度人材外国人」として必要な点数を維持して1年以上継続して本邦に在留していること。
イ 永住許可申請日から1年前の時点を基準として高度専門職省令に規定するポイント計算を行った場合に80点以上の点数を有していたことが認められ、1年以上継続して80点以上の点数を有し本邦に在留していること。(8)特別高度人材の基準を定める省令(以下「特別高度人材省令」という。)に規定する基準に該当する者であって、次のいずれかに該当するもの
ア 「特別高度人材」として1年以上継続して本邦に在留していること。
イ 1年以上継続して本邦に在留している者で、永住許可申請日から1年前の時点を基準として特別高度人材省令に規定する基準に該当することが認められること。
(注1)本ガイドラインについては、当面、在留期間「3年」を有する場合は、前記1(3)ウの「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱うこととする。(注2)前記2(6)アの「高度人材外国人」とは、ポイント計算の結果70点以上の点数を有すると認められて在留している者が該当し、前記2(7)アの「高度人材外国人」とは、ポイント計算の結果80点以上の点数を有すると認められて在留している者が該当し、前記2(8)アの「特別高度人材」とは、特別高度人材省令に規定する基準に該当すると認められて在留している者が該当する。
出典: www.moj.go.jp
4 在留期間
「永住者」の在留資格に伴う在留期間は、無制限です(出入国管理及び難民認定法施行規則第3条及び同規則別表第二)。したがって、「永住者」の在留資格をもって在留することができる期間には制限がなく、終身本邦に在留することができます。
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