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【在留手続】就労資格証明書
最終更新日 2024年12月11日
日本に在留して就労することが認められている外国人は、出入国在留管理庁長官から、就労資格証明書の交付を受けることができます(出入国管理及び難民認定法第19条の2)。この就労資格証明書によって、その外国人が行うことができる収入を伴う事業の活動または報酬を受ける活動を証明することができます。
就労資格証明書については、出入国在留管理庁HPに詳しい説明があります。
就労資格証明書とは,我が国に在留する外国人からの申請に基づき,その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動(以下「就労活動」といいます。)を出入国在留管理庁長官が証明する文書です。
外国人を雇用等しようとする者は,その外国人が我が国で就労する資格があるか否かについてあらかじめ確認したいと思いますし,他方,外国人本人も就職等の手続きをスムーズに行うためには,自分が就労できる在留資格を有していることを雇用主等に明らかにする手段があれば便利です。外国人が我が国で合法的に就労できるか否かは,旅券に貼付(又は押印された)上陸許可証印,中長期在留者については在留カード,特別永住者については特別永住者証明書を確認するほか,資格外活動の許可を受けていることを確認することによっても判断することができます。
しかし,具体的にどのような活動が認められているかについては,入管法の別表に記載されている各種の在留資格に対応する活動を参照しないと判然としない場合もあります。そこで,入管法は,雇用主等と外国人の双方の利便を図るため,外国人が希望する場合には,その者が行うことができる就労活動を具体的に示した就労資格証明書を交付することができることとし,雇用しようとする外国人がどのような就労活動を行うことができるのか容易に確認できるようにしました。
ただし,外国人が我が国で就労活動を行うことができるか否かは,在留資格の種類又は資格外活動許可の有無によって決定されるものであるため,就労資格証明書自体は外国人が就労活動を行うための許可書ではありませんし,これがなければ外国人が就労活動を行うことができないというものでもありません。
なお,この就労資格証明書を提示しないことにより,雇用の差別等の不利益な扱いをしてはならない旨が入管法第19条の2第2項に規定されています。
(参考)
・出入国管理及び難民認定法(抄)
(就労資格証明書)
第十九条の二 出入国在留管理庁長官は、本邦に在留する外国人から申請があつたときは、法務省令で定めるところにより、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を証明する文書を交付することができる。
2 何人も、外国人を雇用する等に際し、その者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動が明らかな場合に、当該外国人が前項の文書を提示し又は提出しないことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。出典: www.moj.go.jp
就労資格証明書は、あくまでも任意に利用できる手段にすぎないこともあって、現状、あまり多く利用されている制度とはいい難いです。しかし、就労資格証明書には、実務上重要かつ有用な使い方があります(出典:山脇 康嗣「詳説 入管法と外国人労務管理・監査の実務-入管・労働法令、内部審査基準、実務運用、裁判例-〔第3版〕」(新日本法規・2022)120頁)。
それは、例えば活動類型資格である「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって国際業務に従事していた外国人が、在留期間中にて転職して別の会社で国際業務に従事することとなった場合などです。当該外国人は、転職前の会社の業務内容についてしか在留資格該当性及び上陸許可基準適合性の審査を受けておらず、転職先での業務内容等については出入国在留管理局の判断を受けていません。よって、在留期間満了時にとる在留期間更新許可手続は、転職しない場合の在留期間更新許可手続に比して、立証資料も多く要求されますし、審査にも時間がかかります。そこで、転職の事実が次回の在留期間更新許可申請の際に、否定的に評価されることを防ぐため、転職に先立って就労資格証明書の交付を受け、転職に係る出入国在留管理局の評価を明らかにしておくことで更新許可が受けられなくなるリスクを防ぐのです。
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