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【在留手続】在留資格「家族滞在」
最終更新日 2024年12月4日
1 在留資格「家族滞在」の概要
「家族滞在」の在留資格は、一定の在留資格を持って日本に在留する外国人の扶養家族を受け入れるために設けられたものです。
外国人が、資格外活動許可を得ない限り、就労活動を行うことができない在留資格です(入管法第19条第1項第2号)
「家族滞在」に該当する活動は、「教授」「芸術」「宗教」「報道」(以上、法別表1の1)、「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能2号」(以上、法別表1の2)、「文化活動」(法別表1の3)又は「留学」(法別表1の4)の在留資格をもって在留する外国人の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動です。
「家族滞在」は、在留資格該当性に加え、上陸許可基準適合性も求められる資格です(法第7条第1項第2号)。
2 「配偶者」、「子」の意義
配偶者及び子以外の家族は、「家族滞在」の在留資格に該当しえません。
(1)配偶者
「配偶者」は、現に婚姻が法律上有効に存続中の者に限られます。法律上の婚姻関係が成立していても、同居し、互いに協力し、扶助しあって社会通念上の夫婦の共同生活を営むという婚姻の実体を伴っていない場合には、「配偶者として行う(日常的な)活動」があるとはいえず、「家族滞在」に係る在留資格該当性は認められません。そして、社会通念上の夫婦の共同生活を営むといえるためには、合理的な理由がない限り、同居して生活していることを要します(審査要領)。
「配偶者」には、相手方の配偶者が死去した者又は離婚した者は含まれません。また、内縁の配偶者は、ここにいう配偶者には含まれません。
(2)子
「子」には、嫡出子のほか、養子(普通養子及び特別養子)及び認知された非嫡出子が含まれます。
また、成年に達した者も含まれます。
<比較> 「日本人の配偶者等」・・・実子以外では、民法第817条による特別養子しか含まれない(法別表2の日本人の配偶者等の項の下欄) 「定住者」・・・6歳未満の養子しか含まれない(定住者告示⑦) |
3 「扶養を受ける」の意義
配偶者又は子であっても、上記1の在留資格を持って在留する者の扶養を受けていない者は対象とはなりません。
扶養を受ける者であることが要件とされているのは、現行入管法が自らが就労しそれにより得られる収入により生活する者は、家族としてではなく、本邦において就労活動に従事する外国人としてその受け入れの可否を決めることを原則としていることによります(『第2版 入管関係法大全 2在留資格』203頁)。
4 「日常的な活動」の意義
「日常的な活動」とは、日々の生活を送る上で通常行う活動一般を意味します。就労活動は除かれますが、本邦の学校に通学して教育を受ける活動なども含めて幅広い活動が含まれます(『第2版 入管関係法大全 2在留資格』204頁)。
就労活動は含まれないので、「家族滞在」で在留する者が、本体活動として扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動を行いつつ、就労活動を行うためには、資格外活動許可を取得する必要があります(法第19条第1項第2号)。
5 在留期間
「家族滞在」の在留資格に伴う在留期間は、5年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間となります(入管法施行規則第3条及び同規則別表第二)。
6 審査のポイント
「家族滞在」に係る在留資格該当性については、基本的に以下の①~④の4点に基づいて審査されます(審査要領)。
➀ 扶養者が扶養の意思及び扶養することが可能な資金的裏付け(経費支弁能力)を有すること
② 配偶者にあっては、原則として同居を前提として現に扶養者に経済的に依存している状態であること
③ 子にあっては、現に扶養者の監護養育を受けている状態であること
④ 経済的に独立している配偶者又は子としての活動は含まないこと(配偶者又は子として在留する場合にあっても、主たる入国目的が扶養者に依存せず独立して別個の活動に従事することであるときは、それぞれに対応した在留資格を有すること)
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