BLOG高井戸行政書士事務所ブログ

2024.10.30

【行政書士】特定行政書士とは

最終更新日 2024年10月30日

1 特定行政書士とは

行政書士法改正(平成26年12月27日施行)により、日本行政書士会連合会が実施する研修を修了した行政書士(特定行政書士)は、行政不服申立てに係る手続きの代理が行えることとなりました。
行政書士証票に「特定行政書士」が付記され、特定行政書士専用の徽章(きしょう)を購入することができます。(引用元:令和5年度特定行政書士制度PRポスター

特定行政書士は、行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成する事務を業とすることができます(行政書士法第1条の3第1項第2号、同条第2項)。

行政書士法
第一条の三 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続及び当該官公署に提出する書類に係る許認可等(行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第三号に規定する許認可等及び当該書類の受理をいう。次号において同じ。)に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第七十二条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること。
二 前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成すること。
三 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
四 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。
2 前項第二号に掲げる業務は、当該業務について日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(以下「特定行政書士」という。)に限り、行うことができる。

(特定行政書士の付記)
第七条の三 日本行政書士会連合会は、行政書士が第一条の三第二項に規定する研修の課程を修了したときは、遅滞なく、当該行政書士の登録に特定行政書士である旨の付記をしなければならない。
2 日本行政書士会連合会は、前項の規定により行政書士名簿に付記をしたときは、その旨を当該行政書士に書面により通知しなければならない。

出典: laws.e-gov.go.jp

2 特定行政書士法定研修

(1)受験資格
行政書士(申込時点において、行政書士名簿に登録されている者)
(2)研修内容
以下の「講義」を所定の期間内に所定時間受講し、「考査」において基準に到達することをもって修了となります。
➀ 講義
〈講義科目・時間(目安)〉

科目時間(コマ数)
行政法総論1時間(1コマ)
行政手続制度概説1時間(1コマ)
行政手続法の論点2時間(2コマ)
行政不服審査制度概説2時間(2コマ)
行政不服審査法の論点2時間(2コマ)
行政事件訴訟法の論点2時間(2コマ)
要件事実・事実認定論4時間(4コマ)
特定行政書士の倫理2時間(2コマ)
総まとめ2時間(2コマ)

② 考査
所属の単位会が指定する会場において実施(全国一斉開催)します。
〈考査問題について〉
上記「講義科目」に関する理解度を測るための考査で、マークシートによる30問択一式問題で行われます。
〈出題範囲及び到達基準点について〉
講義科目の内容の理解を問う出題となります。なお、到達基準点は、例年およそ6割程度です。
(3)受講料
8万円(テキスト代含む)

3 特定行政書士法定研修の都道府県別修了者数

(引用元:総務省HP【表4】特定行政書士法定研修の都道府県別修了者数(令和4年度)

4 具体的事例

日本行政書士会連合会では、次の3つの具体的事例をあげています。

(1)難民不認定(出入国管理及び難民認定法)
 申請者は、本国において民主化運動指導者らと社会活動を行い、本邦においても反本国政府団体に加入し活動を行っていることなどから、帰国すれば本国政府による迫害を受けるおそれがあるとして難民認定申請を行ったが、申請者の供述を前提としてもデモ参加程度にとどまり、難民条約上の迫害のおそれがあるとは認められないとして不認定となった。申請者はこれを不服として異議申立てを行うことが考えられる。
(2)建設業許可申請の不許可処分(建設業法)
 建設業許可申請を行ったところ、経営業務の管理責任者としての経験年数が要件を満たしていないこと、経営業務の管理責任者の常勤性に疑義があることを理由に不許可となった。
 経営業務管理責任者としての経験年数や常勤性について、その判断を見直す余地がある場合に不服申立てをすることが考えられる。
(3)産業廃棄物処理施設の設置許可申請の不許可(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
 産業廃棄物処理施設の設置許可申請を行ったところ、不許可処分となった。申請先の自治体においては、条例により周辺住民の同意書の提出が許可要件となっていて、その要件を満たしていないことが理由とのことだったが、周辺住民の同意書の提出を許可要件としていることに疑義がある場合に、不服申立てすることが考えられる。

(引用元:令和5年度特定行政書士制度PRポスター

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