BLOG高井戸行政書士事務所ブログ

2024.9.5

【お酒】酒屋さんの相続

酒屋さんのご主人(酒類販売業者)が亡くなって相続人である子が酒屋(酒類販売業)を引き続き行おうとする場合には、どのような手続が必要なのでしょうか。

1 相続の申告手続

~酒類販売業者が死亡し相続人が酒類販売業を引き続き行おうとする場合~

酒類販売業者につき相続(包括遺贈を含みます。以下同じ。)があった場合において、引き続きその販売業をしようとする相続人(包括受遺者を含みます。以下同じ。)は、遅滞なく、その旨をその販売場の所在地(販売場がない場合には、相続人の住所地)の所轄税務署長に申告する必要があります。
 相続の場合には通常の新規申請の場合に比べて要件が緩和されており、相続人が酒税法第10条第1号から第3号まで及び第6号から第8号までに規定する者に該当しないときは、その相続人は、その相続の時において、被相続人(包括遺贈者を含みます。)が受けていた酒類の販売業免許を受けたものとみなされます。(出典:国税庁HP お酒に関するQ&A(よくある質問)

酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達
第19条 製造業又は販売業の相続等
5 「包括受遺者」の範囲
 法第19条《製造業又は販売業の相続等》第1項に規定する「包括受遺者」には、法人も含まれるものであるから留意する。
酒税法第10条販売業免許の拒否要件
人的要件1号酒税法の免許又はアルコール事業法の許可を取り消された日から3年を経過していない場合(酒類不製造又は不販売によるものを除きます。)
2号法人の免許取消し等前1年内にその法人の業務執行役員であった者で、当該取消処分の日から3年を経過していない場合
3号申請者が未成年者でその法定代理人が欠格事由(1、2、7~8号)に該当する場合
4号申請者等が法人の場合で、その役員が欠格事由(1、2、7~8号)に該当する場合
5号販売場の支配人が欠格事由(1、2、7~8号)に該当する場合
6号免許の申請前2年内に、国税又は地方税の滞納処分を受けている場合
7号国税・地方税に関する法令、酒類業組合法若しくはアルコール事業法の規定により罰金刑に処せられ、又は国税通則法等の規定により通告処分を受け、その刑の執行を終わった日等から3年を経過していない場合
7号の2二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律、風俗営業等適正化法(20歳未満の者に対する酒類の提供に係る部分に限ります。)、暴力団員不当行為防止法、刑法(傷害、暴行、凶器準備集合、脅迫、背任等に限ります。)暴力行為等処罰法により、罰金刑が処せられ、その刑の執行を終わった日等から3年を経過していない場合
8号禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わった日等から3年を経過していない場合
10号破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない場合
場所的要件9号正当な理由なく取締り上不適当と認められる場所に販売場を設置する場合(酒類の製造場又は販売場、酒場、料理店等と同一の場所等)
経営基礎要件10号経営の基礎が薄弱であると認められる場合(国税・地方税の滞納、銀行取引停止処分、繰越損失の資本金超過、酒類の適正な販売管理体制の構築が明らかでない等)
需給調整要件11号酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため免許を与えることが適当でないと認められる場合
(出典:国税庁HP お酒に関するQ&A(よくある質問)
2 手続対象者

酒類販売業者に相続等があった場合に、引き続き、酒類販売業をしようとする相続人等

3 提出時期

相続等のあった後遅滞なく

酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達
第19条 製造業又は販売業の相続等
3 製造業又は販売業の相続等の申告の取扱い
 法第19条《製造業又は販売業の相続等》第1項に規定する相続の申告は、引き続き製造業又は販売業をしようとする相続人が、相続の開始があったことを知ったときから社会通念上相当と認められる期間内にしなければならないものであるが、当該申告がその期間後になされた場合であっても、やむを得ない事由に基づくものである場合には、相続の開始後遅滞なく申告があったものとして処理する。
4 作成・提出方法

e-Taxソフトで申告書を作成の上、提出することができます。
書面で申告書を作成の上、持参又は送付により提出することもできます。

<添付書類>

必要書類確認事項
戸籍謄本、戸籍抄本、不動産登記規則の規定により交付を受けた法定相続情報一覧図の写しのいずれか(複写したものを含む)被相続人及び他の相続人との続柄が明らかになるものを添付しているか
酒類販売業免許の免許要件 誓約書(酒税法第10条の規定に該当しない旨)法第10条《免許の要件》の第1号から第3号まで、及び第6号から第8号までの規定に該 当しない旨が誓約されているか
他の相続人の意思表示等次の事項が記載された書類を添付しているか
(1) 相続人中に酒類販売業を相続しない者がある場合には、その者が次の事項につき意 思表示した書類(酒類販売業の相続放棄書※)
① 酒類の販売業を相続しないこと。
② 申告する相続人が引き続いて酒類の販売業を営むことに異議がないこと。
③ 印鑑証明書又は運転免許証、公的医療保険の被保険者証その他法律等の規定に基づき交付された書類であって本人であることを確認できるものの写し
(2) 包括遺贈のときは、その包括受遺を証明する書類の写し等
その他参考となるべき書類
相続の申告書チェック表・ 確認欄に○印を付して確認しているか
・ 省略した書類について斜線を引いているか
(出典:国税庁HP E1-6 酒類等製造業又は酒類販売(販売の代理・媒介)業の相続等の申告手続き

※酒類販売業の相続放棄書

5 手数料

申告には手数料は不要です。

6 根拠条文
◆酒税法
(製造業又は販売業の相続等)
第十九条
 酒類製造者、酒母等の製造者若しくは酒類販売業者(以下この項において「酒類製造者等」という。)につき相続(包括遺贈を含む。以下同じ。)があつた場合又は酒類製造者等(個人に限る。)が酒類の製造免許若しくは酒母若しくはもろみの製造免許に係る製造業若しくは酒類の販売業免許に係る販売業の全部の譲渡(次項及び第三十条第七項において「事業譲渡」という。)を行つた場合において、引き続きその製造業又は販売業をしようとする相続人(包括受遺者を含む。以下同じ。)又は譲受者(以下この条及び同項において「相続人等」という。)は、政令で定める手続により、遅滞なく、その旨をその製造場の所在地又はその販売場の所在地(販売場がない場合には、相続人等の住所地)の所轄税務署長に申告しなければならない。
 前項の申告をした相続人等が第十条第一号から第三号まで及び第六号から第八号までに規定する者に該当しないときは、当該相続人等は、その相続又は事業譲渡の時において、被相続人(包括遺贈者を含む。以下同じ。)又は譲渡者が受けていた酒類の製造免許、酒母若しくはもろみの免許又は酒類の販売業免許を受けたものとみなし、当該譲渡者に係る製造免許又は販売業免許は、その効力を失う。
 前項の規定の適用については、第十条第六号中「申請前」とあるのは、「申告前」とする。

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